アルゴリズム取引を知ろう
今回はアルゴリズム取引についてお話したいと思います。
西口さんはアルゴリズム取引って知ってますか?
アルゴリズムについては分かるけど、どんなものがあるか知らないな
コンピューターに取引を任せるもので、ある目的のために最適化した取引になります。今回はその中でも有名なものを少し紹介したいと思います。
アルゴリズム取引は、人が行うトレードではできないことをコンピューターが代わりに自動的に取引することを指します。
人にない強みを持っており、証券会社などが一部のストラテジーを提供しています。
24時間365日動き続け、ルールの設定により意思決定がブレることなく注文してくれます。
システムトレードと混同してしまう人がいますが、「あらかじめ決めておいたルールに従って取引をする」ということは同じですが、システムトレードは人間が行っても当てはまります。
取引の判断をするのが人か、コンピューターかで変わってくるということです。
アルゴリズム取引は、ほとんどがプロなどの投資機関が用いるもので、その多くがマーケットに影響を与えないで自分に有利になるよう考えられたトレード手法です。
もちろん、一部の投資家が自分でアルゴリズムを構築し、運用することもあります。
今回は有名どころを紹介したいと思います。
この取引を知ることでプロなどの大口がどのように考えて、どう行動してくるか分かります。
大半の個人投資家は小口でしか注文できないですが、大口の動きを知り先回りすれば短期的に波に乗れます。
考え方としても面白いので、是非頭の片隅に置いて下さい。
アイスバーグ注文
1つ目はアイスバーグ注文についてです。
大口注文をを小分けにして小口注文する方法です。
目的としては、マーケットに取引の痕跡を読み取られないようにするためです。
アイスバーグは氷山の意味で、板情報では氷山の一角として少ない量に見せかけている様からそう呼ばれています。
ステルスオーダーの1種類となっています。
一回に多くの量を注文するとマーケットへのインパクトが大きくなります。
そのため、1回の量を1/10などにして、価格の形成に影響を与えないように複数回注文を出していきます。
これは意図しない価格の変化を避けるのに有効です。
兆候としては、前日比の出来高(Volume)から大きくかけ離れている場合は、注文させた可能性があります。
見つけ方としては、日足から時間足へと絞って出来高の乖離を見つけましょう。
TWAP注文
Time weighted average priceの略となります。
大口注文を均等に分割して、等間隔で小口注文する手法です。
アイスバーグ注文と類似しています。
違いとしてはマーケットへのインパクトを抑えるために、1分、10分毎など均等の時間間隔で注文しつつ、1回の取引数量を数十分の一に振り分けるなどします。
アイスバーグと違い数量と時間の間隔が均等であり、一定量の注文が執行され続けるため判断がしやすいです。
先回りしてその値より安く買えれば短期的に儲けることができますが、判別のしやすさからあまりTWAP注文はされません。
流動性が適当で、インパクトが少ない銘柄であれば注文されることは少なくありません。
こちらも出来高に注目してみましょう。
VWAP注文
Volume Weighted Average Priceの略となります。
出来高加重平均価格(VWAP)とは、成立した取引額ごとに加重平均した値のことをいいます。
例としては、100円のリンゴを10個と200円のリンゴを10個購入した場合の加重平均はいくらでしょうか。
答えは(100×10+200×10)/20で150円となります。
これが加重平均です。
VWAP取引では、前日の出来高加重平均価格を基準として取引をします。
価格はVWAPを基準とした注文方法で、大口注文を平均的な出来高分布に応じた割合で小口注文に切り分け、適度な時間間隔で発注していきます。
TWAP注文との違いとして、もちろん価格の基準が違うことと、加重平均を取る元データの時間帯によりVWAPの種類が複数あることです。
通常は寄付きから引けまでとなっていますが、証券会社などによっては前場、後場などから平均を出すこともあります。
注文を出す際には、数量や時間間隔を可変にしてます。
マーケットへのインパクトを抑えることを目的としていることに加え、平均的な出来高に近づけて取引するため分かりづらいです。
ステルス注文
後述の見せ板とは真逆の注文方法。
ステルスの意味としては、こっそり行うだがトレードでもそれを実行します。
例えば1000円に100万株の売りを発注し、それがかなりの量だとまず買いがつかなくなります。
板に情報が見えてしまいそれが影響になるからです。
ステルス注文では、板に情報を与えずに瞬間的に取引をします。
1000円で120万の買いが入った瞬間にそれを察知して、100万の売りを出します。
そうすると、1000円で20万の買いが板情報に残ります。
瞬間的なため、マーケットへのインパクトを大きく与えません。
自分から売買するのではなく、板情報を直ぐに読み取りすぐに反映するのがステルス注文です。
空売りする際によく使用されます。
少量に分けてステルス注文することで、大量の金融商品を処理するにも有効です。
見せ板(見せ玉)
スプーフィング(偽装)と呼ばれることもあります。
売買したい金融商品に呼び込むための撒き餌。
約定させるつもりはないが他の市場参入者を騙すために注文を出し、それに乗って市場参入者が注文出した場合に、自身は直前で注文を取り消し自分の有利となるよう相場を操作する方法です。
多くの市場参入者が注目して取引し始めた頃に、自身が有利になるようトレードします。
約定しないよう瞬時に注文を取り消す必要があるため、処理時間は早い必要があります。
アルゴリズム取引を狩る際にも使用されています。
そもそも見せ板(見せ玉)は、株価操縦に該当するため証券取引法違反となります。
しかし、アルゴリズム取引を行い瞬時に完了するため、確証がつかめずに野放しとなっています。
取引が瞬時のため、私たちは察知できません。
まとめ
アルゴリズム取引はコンピューターを使用し、人では行えない長所を活かします。
今回は以下のアルゴリズム取引を紹介しました。
・アイスバーグ取引
・TWAP
・VWAP
・ステルス
・見せ板
他にはレイヤリングや、モメンタムイグニッションなど色々とあります。
アルゴリズム取引には証券取引所で行えるものから、証券取引法違反となるものもあります。
多くの取引手法は、自分の有利な条件へ持っていくために考えられています。
今回紹介したものは大口が行う手法になりますが、個人でアルゴリズム取引を構築する際は、これらの手法を逆手に取ったり、自分の優位性(エッジ)を見つけて取引しましょう。
好評であればアルゴリズム取引について今後も紹介していきたいと思います。
それではまた!
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